傷が生じた場合、
初期に取るべき対応
まずは傷口をきれいな水で十分に洗い流すことが重要です。水道水でよく洗い、砂や泥、異物などを洗い流します。このとき、泡立てた石鹸を使っても構いません。以前はオキシドールなどの消毒液を使用することが推奨されていましたが、現在は水道水で問題ないとされています。
出血している場合は、約10~20分はきれいなガーゼやティシュ、ハンカチなどで患部を圧迫して止血処理を行いましょう。しばらく押さえても出血が続く場合は、心臓より高い位置に患部を持ちあげるようにすると止血しやすくなります。しかし、その場合は、血が止まっても速やかに医療機関を受診してください。
止血後、適度な湿度を保つため、傷を絆創膏などで覆いましょう。以前は、傷は乾燥させることが推奨されていましたが、今では傷口から出る浸出液をそのまま用いた湿潤療法の方が早く治るとされています。しばらくの間、1日1~2回は傷口を水道水で洗い、新しい傷用絆創膏で覆うという処置を続けましょう。
湿潤療法
皮膚に傷を負うと、傷口から浸出液がしみ出てきますが、この液体には傷口を修復する成分が存在します。そのため、傷口を早く治すためには浸出液で患部が湿った状態を保つことが必要なので、乾かしたり拭き取ったりしないようにしましょう。
湿潤療法とは、傷口を水で洗い流して少し湿った状態を保ち、傷を創傷被覆材で覆う治療法です。日本皮膚科学会の創傷・褥瘡・熱傷ガイドラインでも推奨されており、医学的根拠に基づいたアプローチです。